今年は公私とも海外へ行く機会が多いのですが、その中でもメインイベント。2017 F1 シンガポールGP へ行ってきました。
元々ナイトレースに興味があった事、そして2017年で開催が終了するのでは無いか?という噂があり、最後になるなら見ておかねば!と思った訳です。
幸か不幸か、開催は5年延長されましたので来年以降でも見る事ができます。もしこの記事を読んで、気になったら是非オススメしたいと思います。
最初に結論を申し上げると、「一見の価値あり!!!」でした。

今回は成田からANA便でシンガポール入りです。エコノミーの予定でしたが、アップグレード申請が通ったのでビジネスクラスでの移動となりました。
787は777-300と同等にフルフラットで寝ていけるので、海外レースの際は是非これで行きたいと思える程に快適でした。

現地入りは木曜日の深夜でした。本日から2日間は「Grand Mercure Singapore Roxy」に泊まります。深夜でも空港とのシャトルバスがあったので、物凄く移動が楽でした。道を挟んだ反対側にセブンイレブンがあったり、24時間屋台が空いているゲイラン地区までタクシーで7分程と立地も良かったです。

日は明けて金曜日。最初に行う事はチケットの受取です。シンガポールGPに限らず海外F1のチケットはローソンチケットが販売しています。しかし代理店を経由しているので、通常の販売額より2~3万円高く販売されています。簡単な英語が判れば Singapore – F1 Tickets のサイトから購入する事が可能なので、自分はそこから買いました。引取は現地のチケットセンターです。F1のチケットセンターはシンガポール内に数か所ありますし、とても判りやすい看板が至る所に立っているので迷う事は無いでしょう。購入した時のクレジットカード、そしてパスポートがあれば即渡してくれます。

これは余談ですが、海外で現地通貨に変える時。殆どの方は「Currency Exchange」と書いた外貨交換所で交換すると思います。これ、場所によっては手数料がとても高かったり誤魔化されたりするので、面倒くさいですね。自分は、VISAカードの海外キャッシングを利用してATMから引き出しています。手数料は216円です。あとは帰国して、即繰上返済してしまえば現地で交換するよりも大体は安くなります。何より窓口に行かなくてすむし、ATMがあればどこでも引出しできるので、利便性がとても高いです。但し街中のマイナーな場所にあるATMにはスキミングツールがついていたりするので、銀行のATMや空港のATMを利用しましょう。

受取所から徒歩1分でゲートに到着。市街地サーキットはここが素晴らしいですね。ただ道路が封鎖されるので、タクシー乗車の際はかなり気をつけ無いと渋滞に巻き込まれたり、乗車拒否の憂き目に合います。運転手さんにはゲートの近くの有名な建物へ行ってもらい、そこから歩くようにすれば大丈夫です。MRT(地下鉄)に乗れるなら、その方が楽です。

ゲートから入ると、同時開催していた「FERRARI CHALLENGE」の練習走行が始まっていました。自分の立ち位置とコースまでは5m程しかありません。この際際をレース車両がカッ飛んでいきます。この大迫力さは筆舌に尽くしがたいものがありました。サーキットは安全性を考えて、ここまで近い距離にはなりません。自分の様にサーキット慣れしている人でも興奮する距離です。一般の方が見たら度肝を抜かれる事請け合いです。

チケットにはいくつか種類があります。ZONE1,2,3,4と分かれていて、チケットによって入れる場所が変わります。自分はどうしてもグランドスタンドで見たかったので、そちらのチケットを取りました。全てのゾーンに入れるので、日によって見る場所を変えてみる事にしました。ただ、そこは市街地。とにかく歩きます。延々と歩かされます。ちなみに三日間の歩数は、何と42,971歩。歩幅が60cmと仮定すると25.78kmも歩きました。サーキットを縦断する事が多く、ゲートも絞られているのでとにかく歩く羽目になります。そして高温多湿。少し歩くだけでワイシャツの色が変わる程でした。

少し歩くと何やらテントがありました。先程の「FERRARI CHALLENGE」のピットの様です。他のレースならメインイベントクラスの車両が、こんな臨時テントみたいな場所で…F1の凄さを再認識しました。

そこからまた少し歩くとZONE2へのゲートがあり、そこを通過しようとしたら…道路沿いにどこかで見た様な人が歩いていました。

……あれグロージャンじゃない?

何と、F1ドライバーが真横を歩いていました。どうやらその道は「PADDOCK ENTRANCE」へ移動する道だったようです。前を見ると道との柵沿いに出待ちの方々が少しいらっしゃいました。何となくそこで待機してカメラを構えていると…続々とドライバーが横を通っていきます。この距離感の近さ!普通のサーキットではパドック内に専用の建物があり、関係者はそこに集まるのでドライバーと会える機会はほぼ皆無です。所がシンガポールでは、「PADDOCK ENTRANCE」と駐車場?付近の建物に距離がある為、その間をドライバーが歩いて行くのでした。これは全く予想外でした。大半のドライバーは既に入っていた様ですが、自分が居てからは数名のドライバーを見る事ができました。

最初はライコネン。流石フェラーリドライバー。徒歩では無くカートに乗せられて行きましたが、周囲からは物凄い声援が飛んでいました。そしてオーラが半端なかったです。次はボッタス。普通にゲートから歩いて来ました。ファンのサインや一緒に写真を撮ったりしていました。素晴らしいですね。次にウェーレイン。余りにも若くて一瞬スタッフと勘違いしたのはご愛嬌。ただ、ファンのサインに一番長く対応していたのが好印象でした。最後にマグヌッセン。スタッフと共に歩いていたので声は掛けにくかった様です。

その間にもスタッフらしき人、FIAのお偉いさん、オフィシャルの方が入っていきます。何度も言う様ですが、この近さはやはり嬉しいものでした。

そうこうしていると、同時開催の「PORSCHE CARRERA CUP ASIA」が練習走行から戻ってきました。これもまた距離が近い!色々な方がドライバーに手を振っていました。こんな距離感で応援されたら嬉しいだろうなぁ…と少し羨ましく思いました。

更に歩いて漸くグランドスタンドに到着。この椅子が全て埋まると一体いくらの売上になるだろう…そんな無粋な事を思いつつ着席します。3,4,5番グリッドが目の前です。特等席ですね。スタートは物凄いものが見れそうです。というか、見れました。。。

ちょうどF1の練習走行中です。目の前を300km/hでF1車両がすっ飛んでいきます。少し前に排気音が小さくなって迫力が…という話題がありましたが、今年の車両はいやはやいい音していると思います。特に加速時にシフトアップすると「ブブブブブ」って音がします。それからターボ独特のキーンという音。これがたまらない。
V12やV10時代の脳天を突き刺す音も好きですが、これはこれでいい音です。

途中、マクラーレンがHALOのテストをしていたり、レッドブルがペイントをつけて空力のチェックをしていたりと、色々なものが見れます。これも醍醐味ですね。写真はSony FE PZ 28-135mm F4です。遠距離からの流し撮りは本当に難しくて余り綺麗な写真が撮れませんでした。。

そんなこんなで慌ただしく金曜日が終了です。

土曜日はホテルを変えました。よりストリートサーキットに近い所を押さえておきました。「Park Avenue Clemenceau」です。アパートメントホテルなので、とにかく広い!そして洗濯機や冷蔵庫もあるので生活するにはもってこいです。シンガポールはその物価から、とてもホテルが高くて有名です。こちらもご多分に漏れずそこそこ値段は張りました。かなり歩く事を予想したのでサーキットへの近さを最優先した結果です。

ストリートサーキットなので、勿論サーキットのコースの中には一般的なお店もあります。湾岸沿いなので、そこの屋台や建物のお店は普通に営業しています。特に観覧車やグランドスタンド近くの建物は、冷房が効きまくっていたのでとても嬉しかったです。本当に暑いんです、シンガポール。

シンガポールF1はナイトレースという事で、予選も決勝も夕方以降です。その分、身体はとても楽でした。お昼過ぎまでのんびり寝ていても余裕で間に合います。歩き疲れてしまうので、どうしても次の日は起きられないのですね(笑)

そうこうしている間に予選が始まりました。今日はZone4の橋の先で見る事にしました。理由はいくつかあるのですが、「アリアナ・グランデのコンサートが見たかったから」です(笑)
最近のF1はイベント盛りだくさんで運営しています。F1のチケットがあれば、世界の名だたるアーティストの生ライブが見れてしまう訳です。今回のシンガポールにも、ワンリパブリック、ザ・チェインスモーカーズ、アリアナ・グランデ、デュランデュラン、カルヴァンハリス…こんなアーティストの生ライブがタダです、タダ。勿論人混みは必須なのですが、こういう人を呼ぶ為のイベントを同時開催するのは素晴らしいと思うんです。レースには興味が無くても、家族がアーティストの生ライブを見たいなら一緒に行って見る、こんな楽しみ方ができる訳です。お祭りなんですよね、感覚が。来場者がどうやったら楽しんで満足して帰ってもらえるか、という点はレースだろうとイベントだろうと、どちらでも良いと思うのです。勿論レースがメインなのですが、それ以外の楽しみ方を一切許さない!というのも、何か了見狭くて嫌だなと思うわけです。

予選結果は知っての通り、大盛り上がり!ベッテルが通過すると大歓声が沸き起こります。素晴らしい一体感。レースの醍醐味ですね。

帰宅際には気をつけてください。とにかくタクシーが捕まりません。歩いて帰れる距離にホテルを押さえた方が良いでしょう。

さて、日曜日。

決勝前にやたら長い唐揚げ串を2本買って持って歩いてたら、道行く人に散々見られて指さされて笑われました。。あれは馬鹿を見る目だったと思います。

天候はパラパラ雨から曇り。そんな中、ドライバーズパレードが始まり、レースに向けての興奮がどんどん高まっていきました。そして決勝直前にかなりの雨。これがあのスタートの大波乱を呼び込む事になります。
結果は既に皆さん周知の通りですが、あの瞬間のスタンドは悲鳴と叫び声で満ち溢れていました。そして一周目が終わってハミルトンがトップになったと知ると、グランドスタンドのハミルトンファンは大興奮!同時にオレンジと赤い服を着た方の落胆ぷりと言ったら…声を掛ける事すらできないレベルでした。その後は後方こそ良いバトルだったものの、流石のハミルトンという感じで安定していましたね。

そして、これはやはり触れないといけないと思うのですが、スタート直後の1コーナー。三日間通して間近で見ていた者としての感想は、ベッテルの精神的な脆さが出た、に尽きると思います。このコースで勝つ事は必須、そしてポールポジションからのスタート。チャンピオンシップへの重圧。これらが全て一気にのしかかったのだと。

国際映像には出てなかったのですが、ドライバーズパレードの際にインタビューがありました。そこで凄く緊張しながら作り笑いしているベッテルのインタビュー中に、ハミルトンがいきなり割り込んで来たんです。ベッテルの肩へ手を置いて、物凄く陽気でテンション高めに喋っていました。今にして思えば、この時点で気持ちの余裕の差が、今回の結果を生んだのだと思います。

ベッテルのスタート失敗からの連鎖、誰が悪いという類のものでは無いですが、ベッテルが真っ直ぐ行っていたらあの事故は起らなかったでしょう。全てが悪い方向に働いてしまった、自分はそう見ます。勿論ライコネンが今季最高のスタートを見せたので、少し左へカバーに行ったフェルスタッペンの位置取りが良いかどうかは判りません。ただそれも右に余裕があれば当たらなかったはずなので、本当に全てが悪い方向に働いてしまい、噛み合わなかったんだなと思いました。

そんなこんなで悲喜こもごものレースも終わり、ナイトレースの特徴的な花火が打ち上げられて、勝者を祝福していました。これがナイトレースの醍醐味ですね、本当に綺麗でした。

その後に表彰式が始まるのですが、自分は既に帰路へついていました。自分が乗っていない表彰台には全く興味がありません。これがF1だろうがINDYだろうがS耐だろうが変わりません。他人の表彰台なんて見てもイライラするだけなので、いつも見ないようにしています。自分がそこにいない、という現実を知るのが嫌なだけなのですが、そんな小さな人間なのです。

三日間、とても有意義なレースを見る事ができてとても楽しかったです。久しぶりに自分の参加しないレースを見に行きましたが、あの独特の雰囲気はやはり現場でないと味わえないですね。是非、機会があればサーキットに一度行ってみて欲しいと思います。人の熱さって伝搬するものなので、気分が高揚しますよ!

特に日本のレースは敷居も高くないので、見に来てもらえると参加者一同喜びます。願わくば日本のレースのチケットは、もう少し安くなればいいのになって思いますね。人がこない、から値上げする。更に来なくなる、の悪循環に陥っているのが日本のレースです。F1の様に色々なイベントと絡めて、もっと地域一帯のお祭り感があると良いなぁと勉強させられました。