ピレリスーパー耐久シリーズ2018 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース

有限会社ノガミプロジェクト/TEAM NOPRO

富士スピードウェイ公式ページ スーパー耐久シリーズ 富士SUPER TEC 24時間

ST-2クラス DXLアラゴスタNOPROアクセラSKY-D

結果は見事、表彰台2位を獲得致しました!!

そして、とうとう自分にとっては難攻不落と思われた富士スピードウエイでの表彰台を取りました!今まで富士はどうも相性が悪くて4位が最高位だったのです。これでスーパー耐久が開催されているサーキットでは、もてぎ・富士・鈴鹿・岡山の表彰台を獲得し、残りはオートポリスとSUGOのみになりました。これで、ST-2クラスは2015,2016,2018年と連続表彰台記録を3に伸ばしました。スポット参戦ながら表彰台を獲得できるのはとても嬉しいです。

以下、簡単にレポート致します。

まず当初からチームの方向性は生き残り亀さん作戦でした。24時間という長丁場はデミオ・アクセラ共に経験が無い為、耐久性が判らないからです。その為、フリー走行を含めて最低限の走行をしてチェックをするだけに留めました。(朝数周、夜数周)

自分も2周程乗り、決勝ラップを見据えた運転方法を考えて走る様に致しました。目標する秒数を決めてそれが可能かどうかというチェックです。とにかくタイヤ・ブレーキ・エンジン・ミッションを労る様に心掛けしていました。

予選。Eドライバーなので予選はありません。A,Bドライバーが数周のみタイムを出して終わらせるというだけで、あとは基準タイムのクリアをすれば良いのです。A,Bドライバーともさすがの腕前で、フリー走行とは別格のタイム(1’57.778)を記録して帰ってきました。

自分はと言えば、1周だけで終わらせるはずが諸般の事情により2周して終了しました。。簡単に言うと今まで長く別のチームに居た事である癖がついていたのですが、その行為の齟齬があって自分が動揺してしまった結果、1コーナーでクリッピングポイントに着けなかったのが原因です。これは反省でした。。

最終的にチームとしての予選は以下の成績となりました。

ST-2
1位 59号車 DAMD MOTUL ED WRX STI
2位 6号車 新菱オート☆DIXCELエボⅩ
3位 17号車 DXLアラゴスタNOPROアクセラSKY-D
ST-5
1位 66号車 odula Idia MAZDA デミオ15MB
2位 69号車 J’S RACING Moty’s 制動屋 FIT
3位 88号車 村上モータースMAZDAロードスター
7位 37号車 DXLワコーズNOPROデミオSKY-D

決勝。今回は谷川選手のロングが決まっていたので、自分は土曜日に出番が無い事は決定致しました。Eドライバーは深夜(19:00 ~ 4:00)走行不可なのです。アクセラは燃費が非常に良いので1スティント2時間以上走る事が出来ます。つまりスタートドライバーが15:00 ~ 17:00 となり、次のドライバーが 17:00 ~ 19:00 となった時点で、走行資格が無くなります。よって土曜日は早々に引き上げさせて頂き仮眠する事に致しました。自分の担当はこの時点では 4:00 ~ 6:00 (実際には 4:30 ~ 6:30位) と決定していました。

レースは開始早々大荒れでした。まず10分程でST-5クラスの車両がトラブルで停止、そこから20分程でST-2クラストップの 59号車 DAMD MOTUL ED WRX STI の横っ腹へ ST-X 82号車 Phoenix Racing Asia R8 が突っ込むというありえない事態が発生、これによりセーフティーカーとなりました。結果、期せずして3位から2位へ浮上しましたが、この当時はとても後味の悪い結果でした。DAMD MOTUL ED WRX STI は同クラスとはいえ、このトラブルは本当に憐れだと思います。

https://youtu.be/bzf1UlP0AtI?t=53m57s

この修復はとてつもなかったです。ドアが開かないという事はセンターピラーもひしゃげた状態、おそらくフレームも逝っていたはずです。それを26分で修復して走れる状態にするだけでは無く、元の速度を取り戻せる位の修復がされていました。今回のベストメカニック賞は間違いなく59号車だと思います。更に終盤でも足回りのトラブルで停止する事もありましたが、その度に修復されてゾンビの様に戻ってきていました。これこそ耐久レース、そして同クラスの自分達にして見れば最後まで気を抜く事が出来ない、戦々恐々としたレースになりました。

余談ですが、24時間レースの間。待機しているドライバーはどうしているのでしょうか?と疑問に持たれている方も多いと思います。だいたいはチームが用意したホスピタリティスペースで仮眠をしたり食事をしたりしています。TEAM NOPRO では何と整体師さんを呼んでケアをしていました。これはメカ・ドライバーの疲労を軽減する為だそうです。こういったひとつひとつの努力が結果に結びついたのだと思います。

自分はと言えば、スポット参戦の為、チームのやり方を邪魔したく無い&他のドライバーの邪魔をしたくないという理由から、キャンピングカーを借りてその中で過ごしていました。用意した車両はこちら。

キャブコンZiL(ジル)

車内の写真を撮り忘れていたのが痛恨の極みでしたが、とても快適に過ごせました。大人数人が横になれるスペースに、ガスコンロや冷蔵庫、シャワー・トイレもついているのでドライバーの負担を最小限に抑えてくれました。当初はワンボックスを借りる予定でしたが、これもそこまで大差無い金額だった事と、以前お世話になった織戸選手のこの記事を読んでキャンピングカーに決めました。

富士をBBQの香で満たせ! MAX織戸がオススメする富士24時間をMAX楽しむ方法

こんな機会でも無い限りキャンピングカーを借りる事も早々無いと思ったのも後押ししましたね。結果的には(帰り道に高速渋滞を避けて道志道を通ってしんどかった事以外は)大満足です。

そして 4:25 開始して13時間の折返し地点。とうとうその時がやってきました。丁度明け方から早朝に掛けての2時間スティントがスタートしました。既に夜は少しずつ明るくなってきていて、気温は確か17度と最適な状況でした。

S耐TVにこっそりと登場(笑) 座って待っています

いざコースインした時は、まずはその稜線の美しさに感動しました。特に最終セクションの立ち上がりから見える明け方の富士山の美しさは筆舌に尽くしがたいものがありました。感動で泣きそうになったのは秘密です(笑)

ラップ的には想定より早いタイムで周回できました。想定より2秒程早いタイムで走行が可能でした。路面温度が全くあがらないので、とてもタイヤには優しい状況でタイヤとエンジンを労りつつ走りました。アクセラには、テストデーからここまでトータルで10周程度乗っていて癖は掴んでいたのでとても楽に運転ができました。

走り方は本当に色々と考えました。ギアを保護するかエンジンを保護するかという事です。燃費もそうですが走るリズムもあり難しい判断でしたが、結果的にエンジンを保護する走り方にしました。300Rとストレートで5速に入れる方針です。4速でも吹けきってからアクセルオフしても届くのですが、そうするとエンジンとタービンは高回転まで回る事になります。勿論タービンにも負荷が掛かります。万一どちらかが壊れた時、修理がどっちの方が簡単かな?と考えた時にエンジン一式交換よりミッション交換の方が時間が短いだろうと判断した為です。

スポットドライバーは絶対に壊してはいけません。とにかく安定してぶつけず壊さず、次のドライバーへバトンを渡す事が大事だと思っていました。幸いな事にペースも想定より早く、勿論接触や車に不具合を起こす事も無くバトンを渡す事ができました。

そして走行終了後はキャンピングカーに戻り仮眠する事にしました。一応走行予定はなかったのですが、何があるか判らないのがレースです。他のドライバーが突然体調不良になる事もあるので、その為の準備をして体力回復に努めました。

その間もアクセラ・デミオともに淡々と周回を重ねていきます。途中クラストップに躍り出る事もあり期待が高まります。

その後、9:30頃に電話があり「11:00頃から行けるか?」と聞かれました。勿論!とお答えして颯爽と用意しました。2スティント目。11:30頃からのスタートとなりました。早朝とは違い、さすがに気温も上昇。結果的に路面温度も上昇しているのでタイムは余り上がりません。とにかく持たせる事を重視して淡々と走る事にしました。

しばらく走行していると、59号車 DAMD MOTUL ED WRX STI がAコーナーで停止していました。ドライバーも降りていたし足回りに異常を発見したので、これは長引きそうだと思っていた所にチーム無線が入りました。

「ラップタイムを落としてください」という指示でした。車を労りつつ、前の6号車と後ろの7号車とはかなり周回が離れていたので順位キープして相手の出方を伺うという戦い方になりました。ちなみにその後、59号車 DAMD MOTUL ED WRX STI は復活して後ろから抜かれる事になります。あの時は本当に凹みました(笑) まだ戦う相手が増えたと…

そして途中、赤旗中断となりました。ST-4 クラス 58号車 ウインマックステインワコーズDC5☆KRP 車両から火災が発生し、Aコーナーのレコードラインにオイルが飛散した為です。燃えていた車両の横を通過しましたが、ドライバーが無事で何よりでした。その位、よく燃えていました。

オイル跡が点々と…

赤旗中断時はメインストレートで停止します。エンジンも停止するのでこれが滅茶苦茶暑いんですね。。ドアを開けて外気を取り込みつつ、自分は暇だったのでお客さんに手を振っていました(笑) スタンドのお客さんから手を振り返して頂けたのがとても嬉しかったです。

レース再開後はまた淡々と走り、とにかくぶつけられない様にしつつ労って走りました。自分が表彰台を意識したのはこの頃からです。故障さえ無ければ最低でも3位は確保できそうだ、と。その位、アクセラにトラブルの兆候は無く安定していました。今回は前回と違い、クールスーツもドリンクもあったので、体力的にはとても楽に走行する事ができました。あと2スティント位は行けそうな程、簡単にドライブができたのはアクセラのドライバビリティが高い事の証明だと思います。

そしてとうとう24時間後…最後はデミオ・アクセラ2台のランデブー走行でチェッカーを受ける事ができました!

そして表彰台。富士の表彰台は本当に夢のひとつでもあったので、本当に嬉しいです。これが表彰台に登った者のみが見られる景色です。24時間、とても長くて途中は何回もハラハラしましたが、TEAM NOPROとして2台とも2位表彰台を取り、大きな車両トラブルも無く完走できた事はとても素晴らしい事だと思います。と同時にマツダ車の耐久性も証明する結果となった事も喜ばしいです。

ちなみにチームは一度のペナルティを食らう事も無く完走致しました。ST-5クラスに至っては唯一のノーペナルティのチームです。これがチーム全体で戦う総合力なんだなと思いました。