ピレリスーパー耐久シリーズ2019 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース

有限会社ノガミプロジェクト/TEAM NOPRO

富士スピードウェイ公式ページ スーパー耐久シリーズ 富士SUPER TEC 24時間

#37 DXLワコーズNOPROデミオSKY-D

結果は7位完走となりました。

以下、簡単にレポート致します。

今回は木曜の練習走行からどうも自分にとって嫌な流れが続いてしまいました。順番に練習走行する予定だったのですが、自分が乗り込んだ時には電気系の不具合が生じてしまい、エンジンの掛かりが悪く計器類も全点灯、ABSもパワステも無い状態で走る事になりました。結果としてこれが最後まで続く事になります。

2月の練習走行では使い古しのタイヤで悠々8秒台を記録していたので、まぁ余裕でしょ位に思っていたのが大間違いでした。とにかくフリー走行からこの状況が続いていた為、自分の中で焦りが生じてしまった事は否めません。

予選。Cドライバーなので基準タイムをクリアすれば良いだけという状況でした。A,Bドライバー走行時には主だった問題も無く(ABSは死んでいたらしいですが)同クラスと同等のタイムを叩き出してきました。

所が自分はと言えばABSとパワステが無い事に気が付かず、Aコーナーでカウンター遅れの為、まさかのスピン。予選でスピンしたのは今まで参戦して初でした。車の調子が悪いから何としても1周で終わらせるという気持ちだけが前に出てしまった結果です。

このスピン直後はエンジンがなかなか掛からず、何とか復帰するも全く吹けずにスゴスゴとピットへ戻りました。何とか動く事だけは可能な状態になったのですが、ペースはおろか全く何もできずに終わりました。

ST-5
1位 #101 ヒロマツ デミオ
2位 #69 J’s RACING☆FIT
6位 #37 DXLワコーズNOPROデミオSKY-D

決勝。スタートはBドライバの辻選手。グリッドへ移動する際に車の調子を見て頂いたのですが、自分がフリー走行に乗った時と全く同様でした。警告灯全点灯・タコメーター無し・パワステ不動・ABS無しで、唯一GPSスピードメーターだけが動作している状況でした。その為、スタートをしてもペースは上げられず厳しいレースを予感していました。

その後、Aドライバーの井尻選手へ交代すると途中からパワステが復活したそうで、全チーム最速で追い上げていきましたが、スタートドライバーだった辻選手は左の手首を痛めてしまいました。2時間近い間、パワステが無い状態で走っていたのでとても厳しかったと思います。それでも無事にバトンを渡してくれた事がとても心強く感じました。

そのままの状態で夜まで周回し、20:10から乗る事が決まりました。その交代する数分前、無線でミッションが死んだと連絡が入ります。その直後にピットインして調べると、要交換との事。交換中は集中力が途切れないようにしていましたが、やはり動揺と落胆は否めませんでした。

更に追い打ちを掛けるかの様にST-2クラスのアクセラも車両トラブルで緊急ピットイン。ピットではデミオが修理中だったので、アクセラはピット外で放置せざるを得ない状況になりました。これはチーム全員にとってとても難しい判断だったと思います。今でもあの騒然としたピット内を思い出せる程、悲惨な状況になっていました。

レースには、たらればはありません。結果が全てです。後になって色々と、あれはああできた、こうしたら良かったと言えますが、全てたらればです。そういった反省は悔しさと共に飲み込んで次回に活かせば良いと思います。それで悔しさが消える訳ではありませんが、そうするしか先に進めないのです。

最終的に私の走行は予定していた時間から2時間30分程遅れた深夜帯となりました。何とか復活させてくれたメカニック達には感謝しかありません。しかし、車は相変わらずの調子でした。ABSが無いのはどうとでもなりますが、パワステが無いのは本当にしんどかったです。更にタコメーターも無いので勘でシフト操作をしなくてはいけませんが、コーナー中にステアリングを維持しながらシフト操作をすると、重ステ状態の為、手のひらに物凄く負担が掛かります。更に上位クラスを行かせる為、少しでもラインを外すと汚れた路面で操作が覚束なくなります。

その上、途中からエンジンが一瞬息継ぎをする症状が出始めたり、コーナー中に一瞬だけパワステが回復する状況になったりしました。勿論他車にぶつける訳にも行かないので、集中が途切れないようにしましたが精神的にはどんどん疲弊していきました。途中のFCYがこれ程ありがたかった事はありません。何とか2時間+αを乗り切り、次のドライバーへバトンを渡しました。

二度目の乗車は翌日の12時過ぎでした。この少し前に、関選手からの無線でパワステが回復したと来ていたので、待ってました!とばかりに乗り込んだのですが…結局二度目の乗車ではパワステが戻ってくる事は一度もありませんでした。ST-2クラスで乗っていたエボ10でも一度パワステ無しを経験しているのですが、あの時は1時間20分程。今回はトータル4時間30分オーバー。腕がもげそうになりましたし、途中1度スピンをしてしまいました。ハーフスピンも数回。1レースで2度もスピンするなんて生まれてから初めてでした。とても恥ずかしいし、同時間に走られている皆さんに迷惑を掛けてしまって申し訳ない限りです。

それでも誇りたいと思えるのは、無線で重たい重たいと愚痴は言いましたけれどもう降りたいとは言わなかった事です。もうひとつ、全く筋肉痛がなかった事もです。(翌日手のひらは酷い有様になって腫れていましたが) ひそかに筋トレしたり食事療法していたのが功を奏しました。ただ乗車後に2L程度の水を飲み、更に帰り道のSAでラーメンを食べて帰ったのにも関わらず、体重は2kgも減っていました。24時間レースの過酷さを物語っていると思います。

話が逸れましたが、最終的には接触も無く現状を維持したまま次のドライバーへバトンを渡す事ができました。

最終的には無事に完走し7位という結果を残す事ができました。正直に言って悔しいですし、この結果を望んでいた訳ではありません。結果を出す為に自分なりに頑張っていたつもりですが、結果はでませんでした。とても残酷です。

それだからこそ、レースはとても素晴らしく、より好きになりました

どんなに途中が良くて努力しても報われるとは限らない。この残酷さは人生ととても似ていると思います。よく結果が駄目でも途中が良ければ良いという方もいます。それを否定する気はありませんが、最終的に求められるのはやはり結果です。社会的には、その結果の対価が報酬なり評価になります。その残酷さを刻み込んでくれるのがレースだと思います。

その残酷さにチーム全員で打ち勝つからこそ、日常では絶対に味わえない感動が味わえると思っています。

最後は昨年同様にデミオ・アクセラ2台のランデブー走行でチェッカーを受ける事ができました。今年もチームは一度のペナルティを食らう事も無く完走致しました。ドライバーとして少しでもこの貢献ができた事を嬉しく思います。昨年も書きましたが、24時間レースに敗者はいません。まず走り切る事がとてつもなく大変なレースなのです。だからこそ、まず完走するだけでも価値があるんだと思います。

応援して頂いたファンの皆様、スポンサー様、そしてTEAM NOPROの関係者様、全ての関係者様に感謝の意を伝えたく存じます。本当に応援、ありがとうございました!来年もまた機会があれば、是非参戦したいと思います!今後とも宜しくお願い致します。

余談ですが、帰り道のSAで右足のふとももを強打してしまいました。雨が降っていて傘をさしながら歩いていたのですが、暗がりという事もあり車止め(コンクリートの円柱)に気が付かないまま思いっきり蹴ってしまうような感じでヒット。一瞬痛みがありましたが、そのまま気にせずSAで食事をして運転し、更に片付けやらで計6km程歩きました。

ところが翌日になってから痛みが出て、確認すると1.5倍位に腫れ上がる始末。とうとう歩くのも困難になったので病院に行って急遽MRIを撮って見ると…

骨には異常がなかったものの、右太もも上部の筋断裂による内出血。出血量は相当で膝上まできていたようです。MRIの白い部分が全て血です。上の方に衝撃が加わった痕もありました。

何が言いたいのかと言うと、レース中にも関わらず24時間で相当数歩いていて、これだけの体力が必要だという事。そして、レースのアドレナリンは半端ない!という事です(笑) これだけ酷ければ衝撃も相当だったはずだと、病院の先生に言われました。しかし当時はレース直後。まだアドレナリンが出て痛みもほぼ感じず、片付けも含めて、この怪我で6kmも歩いているのです。。

レースがどれだけ麻薬か、判りますね(笑)