しばらく更新をサボっていました。。というより、ネタが無かったのです。今年はチーム体制が色々と変わった為、スーパー耐久への参戦は現在お話はあれども未定でした。とは言え、全く走らないのも考え物…という訳で、GW中に仕事でヨーロッパへ行ったついでに、聖地「ニュルブルクリンク ノルドシュライフェ」を走ってきました。

簡単に説明すると、「ニュルブルクリンク ノルドシュライフェ」は、車開発の聖地と呼ばれている場所です。詳しい話はwiki等をご参考にして頂ければ幸いですが、なんせ1周20.8km、高低差300m、コーナー数172…と、数えるだけでも大変なコースとなっています。路面は滑りやすく、その大きさ故にコースの最初は晴れているのに、途中は雨…という難儀なコースでもあります。

さて、このコース。「パブリック」という一般走行日があります。どんな車でも走行料金を支払えば走る事ができます。扱い的には有料道路、という事らしいです。近くにレンタル車両も沢山あるので、ちょっと検索するといくらでも借りる事ができます。自分は知人の縁でご紹介して頂きました。


右手には「Devils Dinner」という軽食屋さんとお土産屋があります。ちなみに、この「Devils Dinner」、量が半端ないです。。判る人には、昔の筑波サーキットのモツ煮込み定食と言えば通じるかも知れません(笑)


名だたるスーパーカー、自慢の愛車が駐車場に止まっていました。気軽に来ては走っていくというスタイルの様です。ヘルメットを被る必要もありません。但し、全て自己責任なのでクラッシュしたら自分でローダーを呼ばなくてはいけないそうです。サーキットレンタカーのスタッフさんにも、事故ったら直ぐに電話してね!って言われました。。

ちなみに走るのが怖いよ!という方向けに、サーキットタクシーもあります。慣れたスタッフさんがスポーツカーで全開してくれます。文字通り「全開」です。たまにクラッシュするそうです。。

Hot Taxi Laps Overview
GT-R(R35)タクシーで、1ラップ399ユーロ、BMW M3で1ラップ259ユーロから、だそうです。予約していかないとなかなか厳しいとの事。

さて、ノルドシュライフェに着いたものの、天候は雨。更に一部霧。件のスタッフさんにも「今日はコンディションとしては最悪だね、スリッピーだしfoggy(霧ってる)だし。唯一良い事は、走る人が少ないから混雑はしないよ!」だそうで。いいんです。雨好きだし(涙)

お借りした車はこちら。2代目アウディTT FFモデル 2Lターボ(250ps)です。パドルシフトでした。本当はマニュアルにしたかったのですが、初走行でしかも雨。路面はめちゃめちゃスリッピーなので、スタッフさんのオススメでこちらを選びました。シフトロックしたら飛んじゃいますし、無理をして壊したら悪いのでここは安全に行きます。

コースを走る時は、まずゲートの手前で停車。そして走行用カード(レンタカーの場合は貸してくれるはずです)をセンサーにタッチします。すると、ゲートが開いてコースインできます。しかし、ゲート直後はカラーコーンが立っていて、ゆっくりと進入する様に促されました。恐らく、過去にゲートから勢いよく飛び出してスリップして事故した人達がいたのでしょうね…

実際に走行してみると、路面は本当にスリッピー、全くグリップしません。しかもコーナーはカントや逆カントがついていて、この位なら大丈夫だろうと思って進入しても、アンダー・オーバーの嵐。ブレーキは良いモノが入っていた様で、熱を入れさえすれば効くものの、路面μが低いので本当に止まりません。ABS様様です。

いろは坂を更に路面悪くした様な雰囲気、と言えば伝わるでしょうか。そして縁石はあるものの、雨が降っていたらほぼ使えませんでした。勿論使っていい所、悪い所があるのですが、コースの経験を積まないと難しいです。日本では、シミュレーターで何十時間も走っており曲がる方向くらいは判っていたのですが、実際は予想以上でした。横Gだけならともかく、至る所で縦Gが発生します。ジェットコースターでストンと落ちる感覚に似ています。

登っていたと思ったら、突然下方向の縦Gが掛かってS字が来ます。そうすると荷重が抜けるので、アンダーになって滑ります。おおおおお!と思ってハンドルを切り込むと、登っているにも関わらずオーバーが出ます。こんな感じのヒヤヒヤが様々なシチュエーションで170回も来るわけです。そりゃ難しいわ…

このコースが車両開発に適している、というのがとても良く判ります。本当に色々なシチュエーションが試せるのです。そして、まず脚が良く無いとこのコースは走れません。当然車両のバランスも良く無いと怖くて仕方ないでしょう。更に止まれるブレーキがいる。車両がペラペラではそれらも活かせないから、剛性が必要になる。万が一事故をした時に、ドライバーや同乗者を守ってくれる強さが必要。全てがここにある、と言っても過言では無いと思います。

さて。脱線しましたが、そんなこんなで一周してくると、またカラーコーンが置いてあって、駐車場に戻されます。これで1周。一番速度の出るストレートで止めさせられるのは、ちょっと不満ではありますがこれも仕方ありません。またカードをかざして、再スタート。これを繰り返します。

最初の2周は路面の確認と状況の確認、車両の挙動を覚える事に費やしました。幸いな事に水しぶきは上がれども、水たまりは多くなかったので遠慮無く全開はできそうです。アウディTTのトラクションコントロールとABSはかなり優秀で、コーナー中に全開してもブリブリブリブリという音を出しながら前に進んでくれます。これが面白い。

カルーセルやギャラリーコーナーでは、観客も沢山いました。面白い事に、ここで踏んでいくとギャラリーがワイワイと応援してくれます。のんびり走っている車にはそうでも無いのですが、ドリフトなどしようものなら両手を振って喜んでくれます。パブリックデーですらこういうサーキットのファンがいるのは、本当に素晴らしいですね。文化として根付いていると感じました。

そして、喜んでくれるのが見えたら踏みたくなるのがドライバーです。最後の方は本気で踏んでいきました(笑)

ブリブリいっているのが聞こえるでしょうか?この映像、ニュルおじさんと言われる方がいて、毎日走行車を撮ってアップロードしているそうです。自分もしっかりと写り込んでいました。

肝心のタイムですが、愛用している QSTARZ 様のGPSによると

(2)12:51.275
(3)11:52.768
(4)11:37.405
(5)11:18.122
(6)11:09.263

でした。最初と最後は減速&停止させられる為、参考程度です。


それでも雨の中、Metzgesfeld で 193.50km/h(メーター読みで201km/h) まで出せたので頑張れたと思います。(200km/hオーバーをどうしても出したかった)ここにもギャラリーが居たんですよ…。そして、この手前は高速コーナーなのですが、めちゃくちゃ滑ります。全開で行くと命がいくつあっても足りません。

途中、サーキットタクシーのスイフトと一緒になったのですが、めちゃくちゃ速かったです。何とか追いついて抜いたものの、コーナーでは煽られっぱなしでした。グリーンに車両半分落として走らないと逃げれない程速かったです。。

そんなこんなで1時間程の走行は終了。何回かスピンしかけましたし、お世辞にもうまく走れたとは思えませんが、それでもまた走りたい!と思った程、魅了されました。

ここでレースできたら最高だろうなぁ…と後ろ髪を引かれつつ、サーキットを後にしました。