去る5月8日、富士スピードウエイで行われた「ピレリスーパー耐久シリーズ2018 富士スピードウェイ公式テスト」に参加してきました。

何故参加したのか?という点についてご説明すると、今年は6月2日~6月3日に掛けて行われる「富士SUPER TEC 24時間レース」に参加する為です。このレース、日本では24時間レースって相当前に遡らないと開催されていません。それで、夜間走行のテストを受けないと24時間レースには参加できないよ(厳密には夜間走行できない)というレギュレーションが新たに設けられました。これについては賛同できます。速度差のある車が走る中で、一度でも経験しておけば雰囲気が掴めます。

ただ、自分は……実は、正直参加は諦めかけていたのです。今まで居たチームは悉く撤退及び体制変更で失くなってしまいました。自分の様な場末ドライバーには勿論声も掛けて貰える訳も無く、ただひたすら基礎力トレーニングを積み重ねていただけです。

ところが、TEAM NOPRO様から「テストに乗りませんか?」とまさかのお声を掛けて頂けました。TEAM NOPRO様はスーパー耐久でディーゼルカーを走らせるというフロンティア・スピリットに溢れたチームです。

今回のテストでは覚える事が沢山ありました。まず何はともあれピレリタイヤです。先輩方から色々と縦横の話は聞きましたが、体験してみるまでは判りません。次にディーゼルターボの感触。シフトタイミングも変わればフィーリングも変わります。何はともあり夜間の走行記録を作る為に、壊さないように気をつけて走る事で精一杯でした。

日中はドライでした。セッション最後にいざ乗ってみます。ともかく下からディーゼル特有のトルクがモリモリ伝わってきます。コーナー脱出時の加速は前に乗っていたエボXと大差無い様に思いました。エボXは四駆なので、FFのアクセラがここまで加速するのは驚きです。特にエボXはセンターデフやリア周りに重たい機構が沢山乗っているので、コーナーは踏ん張りながらも最短距離ぐいっと曲げて加速するという感じです。

対照的にアクセラはFFなので、リアは比較的剛性感が無く感じます。その分、スライドしてもすーっと流れていく感じでコーナーリング速度はかなり速い、恐らくエボXより速いと思いました。またエンジンを回さなくてもいいので音が静かです。これ、地味によいのです。高回転型エンジンは官能的なので最初は興奮します。ただ周回を重ねていくと、だんだん音が鼓膜に響くようになって疲れてくるんですね。昔、DC5でS耐出てた事がありますが、やっぱり音は良かったけど疲れました。そういう意味では長時間、ドライバーに負荷が掛かりにくい音は集中力が切れないので良いなと思いました。

そして待望の夜間走行。残念ながら雨、そして霧。そういう意味では最悪のコンディションです。逆の見方をすれば、これ以上酷い環境で走る事はまず無いので、最悪を経験できればレースは余裕だと思いました。

実際の所、私のスティントでは霧が晴れつつあったせいか、外周に設置されたスポットライトが逆に眩しいくらいでした。しかもコーナー中はリアガラスへスポットライトの白い光が流れる為、「あっ!速い車両が来た!」と勘違いしそうになりました。好みで言えば、全部真っ黒で車両への反射テープとコーナーポールの反射板、縁石に反射板だけあればライトはいらないかなぁ…と思いました。ノルドシュライフェの夕方は真っ暗で何も見えなかったですが、問題無く走れましたし、光源の向きや量はまだまだ調整の余地があるかな?と思いました。あとラリー仕様みたいな追加フォグをつけた車も、車両は特定しやすいのですが比較的眩しかったです(笑)

怖さという点は全くありませんでした。いや、嘘です。運転自体は全く問題ありませんし、雨でも夜でも霧でも怖さはありません。ただ、他の車の動きが日中より読めないのが怖かったですね。とにかくぶつける事だけは避けたかったので、超安定思考で、下のクラスの車も一番安全な所を待って抜きました。元々タイムなんてどうでも良かったので、夜間にすべき事を重点的に調べて走行していました。特にライト位置や初ピレリタイヤのレインタイヤの感触です。これが判っていれば、後はタイムを揃えるだけなので簡単です。

夜間のシミュレーショントレーニングしていて、24時間を想定したテストを何回かしていたのも、心に余裕ができてよかったです。(下図参照)

という訳で無事にレギュレーションクリアしました!これでまずは第一歩を踏み出せたと思います。何より丁度3年前の5/5に心臓で死にかけた身としては、今ここでハンドルを握れる事がとても嬉しく思います。本戦はまだ全くの白紙ですが、当日まで何があるか判らないのがレース。とりあえずレギュレーションはクリアできたので、一歩ずつ確実に進んでいこうと思います。

関係者の皆様、TEAM NOPRO様、ご一緒させて頂いたドライバーの皆様、本当にありがとうございました。