遅くなりましたが、スーパー耐久2016 Rd.4 富士結果報告です。

予選: 13台中11位 (ST-5クラス)

決勝: 7位完走

今回は特認という形で、fitチャレンジの車をほぼそのままスーパー耐久で走らせるという事になりました。元々のvitzはSUGOラウンドで大破してしまい、急遽用意したという形になりました。初めての車で、9時間という長丁場の耐久に耐えられるかも判らない、実はそのような手探りの状態で走っていました。

実際には、ブレーキのフィーリングが最後まで合わず、とても不甲斐ない結果だと思っています。ブレーキペダルを踏んで1.5cmくらいまでは効くのですが、それ以上踏み込むとABSが介入してしまい、ブレーキを離してしまうのです。結果、より止まらなくなるという悪循環を抱えていました。それを防止する為、軽いブレーキタッチのまま走る。もしABSが介入したらブレーキペダルをリリースする、という状態です。ドライバーの意識としては、より止めたいならより踏み込むという事が意識に擦り込まれているので、その意思に反してブレーキを離さなくては止まらない。これが慣れない原因でした。いっそABSが無い状態であれば、と思いました。ロックしたタイヤをリリースする事はできるからです。

その中で自分としては、どうやったら表彰台まで行けるのか、という事のみ考えていました。練習走行は、より経験の少ないドライバーを走らせる事。セッティングは、よりできる人に任せる事に終止し、8周しただけに留めました。

決勝のレースの戦略はチームに任せていた為、3スティントを走ると知ったのは、1スティント目が終わってからでした。とにかく集中力を切らさず、車に負荷を与えない走り方を心がけました。その目標は辛くも達成できたかなと思います。タイムチャートのグラフを掲載しました。こういうのって余り公開したがらないドライバーも多いのですが、私はST-5クラスは修行の場だと考えています。こういった情報が公開される事で、間口が広くなっていくと考えています。更に自分へのプレッシャーにもなります(笑)

さて、グラフですが一番上が第1スティント・第2スティント合算グラフです。2番目が第3スティント(ゴールまで)、一番下がスティント単位の比較グラフとなります。一番上の真ん中に赤い線がありますが、ここがスティントの境目です。そして、これは連続走行では無く、この第1スティント・第2スティント間で1時間少々の待ち時間があります。ここで集中力が切れていないか、という判断ができます。

真ん中の青い線は、近似曲線と呼ばれるものです。これは、データ予測を分析する時に利用します。上がり下がりが多い折れ線グラフの場合で、全体の傾向としては上がっているのか、下がっているのかを判断する場合に利用すると、その傾向が一目で判ります。一般的に、不慣れなドライバーは下がっていく傾向になります。どんどんレースと車に慣れていき、平均ラップが上がっていくからです。ちなみに一周毎に多少上下するのは、GT3車両が来るからです。どれだけ速いか判りますね。

今回、自分はこの近似曲線を水平に保てるように心がけました。第1スティント・第2スティントはほぼ水平に保てています。つまり最初から最後まで、常に同じ走り方ができた事になります。この近似曲線からプラスマイナス0.5秒以内を目標にしたい所です。

第3スティントは3周目から6周目までのブレが大きくなっています。実はこのスティント、走り始めてから燃料が足りないと知らされました。なので6800rpmシフトを6000rpmシフトに変えて走っています。このブレている間に、ギアとシフトアップのタイミングを試していました。何となくしっくりきたのが7周目、その後2周程GT3や上位クラスと絡んだのでタイムが落ちています。

10周目からは、ほぼ第1スティント並のタイムで走る事ができました。回転数を落としてもタイムを落とさない走り方に変えています。その分、タイヤとブレーキがキツくなるのですが、幸いな事にタイヤはそこそこ良いタイヤにしていたので問題無くタイムを維持する事ができました。21周目からは、前後のギャップがかなりあると聞いていたので、車を労ってゴールまで運ぶという作業に切り替えています。なので、近似曲線も少しずつ上向いています。回転数も5700rpmまで落としています。

一番下のスティント毎のタイム比較グラフでも、その傾向が読み取れます。第1スティント・第3スティントが、途中からほぼ同タイムなのが判ります。ドライバーがどの様に考えて走っているのか、少しでも参考になれば良いと思います。自分はこんな感じで走っているので、誰かの参考になれたら嬉しいですね。

このブログの自己紹介でも書きましたが、自分は速いドライバーではありません。挫折した事は何度もあります。前回の鈴鹿では、4速から5速のシフトアップだけでトータル1秒遅いと判明して、そのまま帰りたくなった事もあります。でも、速くないなら速くないなりに、自分のできる事を極めて精度を高めていこうと思いました。それが、車がどんな状態であれタイムを落とさないで走る事、車に負荷を掛けないような走る事、です。2015年開幕戦もてぎでは、走行してすぐにパワステが壊れて超重ステになりました。ST-2クラスのエボXで、パワステが壊れると凄まじいレベルの重さになります。それでも、何とかタイムを維持して次のドライバーに繋げ、4位完走しています。

ちなみに今まで8年程S耐に参戦していますが、スピンは2015年の開幕前の練習走行の1度だけです。車をぶつけたのも、その1度だけ。本戦では、予選・決勝を通して一度横腹にぶつけられていますが、それ以外の接触はありません。飛び出した事は何回かありますが、スピンは1度もありません。こういう地味だけど、チームから安心して使ってもらえるドライバーになりたいと願っています。