ピレリ スーパー耐久シリーズ 2020 開幕戦 NAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レース 参戦レポート

練習走行日

最初に飛び込んできたのは、BoP(Balance of Performance / 性能調整) の話でした。そういう話があるという事は聞いていましたが、いざBoPによって Audi R8 LMS GT4 は異常と言いたくなるレベルで調整されていました。まずストレートが全く伸びない、そしてトルクが全く感じられないので、全てのコーナーとストレートで遅くなりました。

テストデイに参加しているので、その時のタイムや速度は敵チームにバレている訳です。テストデイで出ていたタイムから、5~8秒も遅くなってしまったのです。会う人会う人に「壊れてんの?」とか「調子悪いの?」と聞かれて、とても苦しい思いをしました。それでもできる範囲で速度を取り返そうと、とにかくセッティングに時間を費やしました。

今回からレーシングスーツもチームで統一して一新!何とあのエヴァンゲリオンをモチーフとしたものに変わり、滅茶苦茶かっこよくなりました。テンションがダダ上がりです。

予選

予選タイムは他のチームに惨敗、というより今の状況では最善のタイムが出ていたと思います。トップチームは1’49台に対してこちらは1’52.555。GPSで解析をした結果、ストレートと300Rだけで他車から2秒も遅い状況です。トップスピードがとにかく伸びませんでした。トップチームが平均250km/hをオーバーするのに対して、こちらはその10-15km/h落ち。

練習走行日(7/30)に「ウチはストレート一番遅いんでBoPで何とかしてくださいよー」と嘆いていた某チームがST-Zクラス最高速を出していました(苦笑) 政治って怖いですネ。

自分はとりあえず1周で基準タイムクリアし、あとは雨用セッティングをひたすら試していました。

決勝

迎えた24時間はAドラからです。経験もあるので問題無い…はずでした。しかし予選結果が響き、ST-1クラスはおろかST-TCRクラスすら抜けないストレート速度に手も足もでない状況でした。1周辺り同クラスで5~8秒遅い速度でしか走れません。トップ集団は予選と同タイムかそれ以上のタイムで逃げていきます。燃費も対して変わらないので、これは早々に勝負権が無いと思っていました。亀さん作戦でミス無く戦い、他のチームが壊れてくれるのを待つ…という戦いしかできませんでした。悪い事は重なるもので、1時間もしない内にクラス違いの車から追突されてリアにダメージを負ってしまい、更に状況は厳しくなっていきました。

その後、雨脚が強まり赤旗中断。これが4時間も続いたせいで車にはとても楽な戦いになりました。つまり、トップ集団の壊れる可能性がかなり低くなったという事です。

そしてとうとう自分の番が回ってきました。元々夜、というか深夜を担当する事が決まっていたので、気分的には楽でした。雨さえなければ。。雨の中、SCが解除されずひたすらストレスが溜まっていきます。しかも、背後には光軸が狂って上を向きまくったLEDバーをつけた車両がいて、眩しくて仕方ありません。一瞬でもバックミラーを見ようものなら眩しさで目が当分見えなくなります、というかなりました。この追加ライトには恐らくレギュレーションが無いので、自分達だけ見えればいいというチームがいてとても厄介でした。はっきり言ってあれだけ場内が明るければヘッドライトだけで十分なのに…と恨み節ばかりです。それよりAピラーへLEDをつけて色分けして欲しいと思いました。バックミラーで見た時にどのクラスの車か一目瞭然になるからです。そんな上向きLEDバーをつけるより、事故する可能性は低くなると思いますね。

そんなこんなで自分の担当は終了しました。結局ウエットでしか走る事はありませんでした。もしくはウエットタイヤで走ってたらドライになって行ったという感じです。

あとで結果を見て愕然としたのですが、ひとり激遅い人がいますね。自分なんですが。結局ドライ+スリックで走る事は叶わず、雨+フルタン(最大燃料搭載)でしか走っていないので仕方ないんですけれど、何でこんな遅い下手糞がST-Z乗ってるんだ?って思われるんだろうなと心底凹みました。それでもレースの世界では結果が全てなので仕方ありません。

それに自分は一発も速くないので、夜とか雨みたいに皆のラップが落ちる時しか走れないのも問題なんでしょうね。もっと自分が速く、そして安定して走れるようにならないと使って貰えなくなる…という危機感ばかりです。ちなみに自分の最高速度は23*km/hでした。雨という事もあり、これ以上のスピードは出せませんでした。(同時期のトップチームは246km/h) スリップに入っても抜けるどころか離されていくばかりで、途中チクショー!!と叫んでしまった位です。

それでも最後まで諦める事無く、チーム一丸となってクラス6位完走を成し遂げた事は素晴らしいと思います。途中トラブルや故障もありましたし、開幕戦という事もあって改善点や課題も沢山出てきました。今後はそれらを少しずつ修正して、最後はポディウムの頂点に立てるように頑張っていきます。

最後はいつもの写真の練習…です。

最後に。

今回、アルパカッソ様とコラボレーションさせて頂きました。自分がとても好きで突然押しかけて色々と便宜を図って頂き、株式会社アミューズ様に感謝させて頂きます。ヘルメットにアルパカッソのしろちゃん・ももちゃんを貼って24時間一緒に戦いました。

藤原能成さんがしろちゃんと24時間耐久レースに出場!

これはとてつもなく個人的な事なんですが。。自分はアルパカ好きで、よく八ヶ岳アルパカ牧場へ行くのですが今年、希ちゃんという子が生まれたんです。でも身体が弱くて数日で他界してしまいました。今回のレースには、しろちゃん・ももちゃん・そしてヘルメットに希ちゃんを付けて一緒に走りました。無事に育っていたら今頃は牧場を駆け回っていたと思います。その想いも一緒に走らせてあげれて、良かったなあと思いました。

次は表彰台からの景色を見せてあげたいなと思います。